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代表取締役社長 中野 尚範 様
横浜市は神奈川県最大の都市。
今回訪問させていただいた、株式会社アドヴァンテージ様のオフィスは新横浜駅からほど近い場所に位置します。
新横浜駅はJR、横浜市営地下鉄線に加え、新幹線が乗り入れた横浜市の玄関口。駅周辺は横浜市における都心(ツインコア)の一つに指定されており、多くのオフィスビルやホテルが建ち並ぶビジネス街です。
美しい並木通りに面した「アプリ新横浜ビル」、そちらで採用支援事業を営まれておられる株式会社アドヴァンテージの中野社長にお話を伺いました。
― 御社の事業内容をお願いいたします。
一言でご説明すると採用支援会社です。求人広告代理店さんと違う点として、多くの企業様は求人媒体に広告を出されて求人されるかと思いますが、当社は、企業様の自社求人サイトを作り、そちらで行う採用を推進しています。
アドヴァンテージでは採用においてもマーケティングが重要であると考え、企業様の求める人材に狙いを定めた集客を行なっています。当社の主なお客様は派遣会社様や飲食・サービスチェーン店本部様で、一ヶ月に500名から1,000名の人材を大量に集めているような企業様です。
-㈱アドヴァンテージの中野社長 -
このメイン事業に加えて、最近では異業種から新しく求人広告ビジネスへ参入される企業様のサポートを行っております。
近年ではドコモCS様の「ドコモ求人ナビ」やベルメゾンで有名な千趣会様が運営する「おしごとメゾン」という、主婦をターゲットにした求人サイトの立ち上げを支援させていただきました。
ほかにも大手企業による20代女性専門求人サイトの立ち上げなどもお手伝いいたしました。
― 中野社長は同志社大学在学中に19才で「起業成功塾」に入られたとのこと。高校を卒業して間もない時期ですが、若いころから起業意識は高かったのでしょうか。
親戚に経営者が多かったこともあり、具体的な事業は決めていませんでしたが、子供のころから漠然と社長になりたいと思っていました。起業成功塾では営業力と体力を身に着け、勉強することを学びました。
営業力をつけるため訪問販売を経験しましたが、訪問販売には初対面のお客様に安心感を持っていただき、お家に入れていただくための人間力や、お話を聞いていただく会話力が必要です。大学の肩書きなど全く通用しない世界でそのような営業力を学びました。また、経営者に必要な体力をつけるため1日10kmのランニングや筋力トレーニングなどをし、体育会系の学生にも負けないくらいの身体作りをしました。
-㈱アドヴァンテージの中野社長 -
あとは幅広い知識、勉強ですね。私は京都を担当していたので、起業成功塾からは「京都大学の大学院生と同様の知識を、すべて持ちなさい」という指導を受けました。
「色々なことに興味を持つ」という意図だったのでしょうね。大学の勉強とは別に分厚いファイルを作って、物理学から哲学まで、とにかく勉強しました。
「宇宙は何故できたのか」とか、「仏教の歴史」とか。営業には全く関係のない内容でしたが、そういった経験を通して「学び」とはどういうものなのかを知りました。
― 学業と両立して素晴らしいです。それほどの知識がありましたら、どのようなお客様にもご対応できたでしょうね。
当時は大学生に向けた商材を扱っていたので、お客様の学部が分かれば、そこから専攻分野に関するお話をしたので喜ばれましたよ。出身地が分かれば進学した大学のレベルから出身高校が予想できますし、予想が当たっていれば、その高校に在籍されている先生の名前を出したり。どんな話題にも対応できたので、よく「調べてきたのですか?」と驚かれていました。
一時はお相手の話し方などから出身地やご両親の商売を当てることもできたので、当時の私なら、きっと占い師になれたと思います(笑)。
-絵本「スイミー」のお話はアドヴァンテージ様と深い関係があります -
― その後、今の人材業界を選ばれたのは何故でしょうか。
実は偶然なんです。求人広告ビジネスで起業を考えていた後輩から相談を受けた際、ビジネスモデル案を出すなど具体的な意見交換をしていたところ、「手伝って欲しい」と誘ってもらいまして。もともとは、将来は貿易会社を作りたいと考えていましたし、まさか自分が人材ビジネスに参入するなんて思ってもいませんでした
― 私はこれまで「採用される側」でしたので就職の難しさは経験しておりますが、「採用する側」も求人で苦労されていることに驚きました。
毎年、新卒の学生さんは45万人ほどいらっしゃいますが、それに対して大企業の採用枠は7万人ほどしかありません。逆に中小企業の枠は35万人~40万人ありますが、そちらには人が集まりにくいのが現状です。その業界の方なら誰でも知っているような、何千何百億という売上をあげている優良企業の会社説明会でさえも、大学生が名前を知らないために人が集まらないんです。
-携帯電話の修理も事業の1つです-
学生さんはTVCMなどで有名なBtoCビジネスをしている大企業しか知らないため、そういった企業へ就職を希望する傾向があるので、中小企業は人材確保に苦労されています。アルバイトも含め、同じようなことが今は全国で起きていますね。
当社の求職者向けのセミナーには、延べ2,000名ほどの受講生がいますが、「本当に自分にあった就職するための方法」として、こういった企業の実態をお伝えしています。
企業様に対しては「企業向け求人セミナー」を開き、「同じ広告を出すでも、より効果的な方法とは?」という内容でお話をしています。少し前までは広告を出せば人が集まる状況でしたが、近年では出すだけでは難しいんです。
中小企業の採用担当者が、大手企業よりいい人を採用することは単純には難しいかもしれません。しかし「工場で働く」「主婦だけ」「学生だけ」というような、ポイントを絞った分野ならば大手求人広告に頼らなくても人は集まります。当社はそのようなニッチな分野での採用支援を拡大しており、自社求人サイトの構築や異業種企業の人材ビジネス業界参入へのサポートも、同様の考え方で展開しています。
― 自社で立派な求人サイトが低コストで作れる「JobMaker」。この画期的なサービスが生まれた背景をお伺いできますか。
もともと当社がメールでアルバイト情報の届く求人サイト「めるバイト」という求人媒体を運営していたところ、人材派遣会社様から「自社用に同じようなサイトが欲しい」というオーダーをいただきまして。その後も同様のご依頼を何件かいただき、お客様のご要望を伺いながら形にしていったことが始まりです。
ご提案を通して市場のニーズを感じたので、商品向けにパッケージ化したものが「JobMaker」になります。正直なところ、単純に求人広告を営業した方が楽なんでしょうが、「採用」をトータルに見て、大手求人広告に頼らない採用を提案し、「アドヴァンテージに依頼すれば、採用に関することは解決できる」ということを進めることで、他の代理店や大手求人広告媒体社では出来ないことをしています。
― 社訓に「華やかでおもしろい日本をつくる」とありましたが、中野社長の理想とする日本はどのようなものでしょうか。
一人ひとりの灯りは小さくても、皆が灯りをともせば国全体が明るくなる、という意味で「一燈照隅 万燈照国(いっとうしょうぐう ばんとうしょうこう)」という仏教用語があります。
レジのアルバイトでも、つまらないと思いながら働く人より、お客様から「貴方がいるから買いに来たよ」と言われるような働き方をする人の方が、時給は同じでも充実していますよね。そんなふうに一人ひとりが自分の仕事を通して輝くような、明るくて華やかな日本になると良いですね。
アドヴァンテージの「誰もが活躍できる世の中にしたい」という想いも、ここからきています。かつての働くことは「傍(はた)を楽にする、周りのために自分が頑張ろう」という意識が高かったように思いますが、今は働かずしてお給料をもらおう、ラク(楽)をしようという考えが広まっているように感じます。そのような風潮を少しだけ戻せれば良いなと思います。
― 「誰もが活躍できる世の中をつくる」具体的なアクションとして、セミナー受講生や求職者の方にそういった心の持ち方もお伝えしているのでしょうか。
そうですね。もちろん社内でも言っています。とはいえ、当社もまだまだ多くの課題があり、セミナーでお話していることの全てが出来ているとは言えませんから、そこは伝え続けるしかありませんね。
社員達それぞれが活躍してくれたらとても良いなと思います。私は彼らの独立は大歓迎なので、どんどん独立してもらって、アドヴァンテージより大きな会社になったら雇ってもらおうと考えています。本当に(笑)。
― 中野社長の発想は、枠にとらわれない自由さがとても素敵ですね。
「一つの会社で働き続けなくてはいけない」なんて誰も決めていませんし、日本の伝統なんて言ってますが、定年退職や終身雇用ですらここ数十年で出来た制度です。私は常に固定概念を変えたいと思っています。…当社に関していえば、自由過ぎることが課題ですが(笑)。
-「書き初め」は毎年の恒例行事。全社員さまの目標を壁に掲示されています -
― 自由な発想から生まれたものの一つが、こちらの新横浜オフィスかと思います。採用支援会社が「働かない若者達」によって構成されているNEET株式会社にオフィスをプロデュースしてもらった、というエピソードが衝撃的でした。
ご縁あってNEET株式会社の方とお会いする機会があり、興味をひかれました。私も企業に勤めた経験はありませんしフリーターをしていたので、自分とニートと呼ばれる方々にさほど違いはないと思っています(笑)。
実は当初は「ニートが採用を切る!」という内容で、当社が扱っている求人情報に対して「働きたいか・働きたくないか」を批評していただくコラムをお願いしました。そちらの打ち合せ中にたまたま引越しの話題になり、「ニートが働きたくなるようなオフィスを、ニートがプロデュースする」という企画が生まれました。
- オフィスルームとは別に作られた休憩スペース -
すぐに200個ほどのアイデアをいただき、その中の幾つかを採用させていただいたのが、こちらの横浜オフィスです。
EET株式会社さんのアイデアは面白かったですよ。「砂場が欲しい」とか「ハンモックを吊るそう」とか…。ほとんど実現は難しかったのですが(笑)。
実はこの企画には「ニートにオフィスをプロデュースしてもらうことで、メディアに取り上げられる」という、他の狙いもありました。
― 確かにとてもキャッチーな企画だったと思います。
「中小企業は明確なコンセプトと狙いを定めればメディアに取り上げられ、社会に名前を知ってもらえる」という実例を示すことが目的でした。当社も名前が知られている会社ではないので、自社の経験からお話ができれば企業向けセミナーでの説得力が違うかと。そのためのプロジェクトでもありました。
このような考え方で、企業や経営者が持つそれぞれの魅力を引き出していきたいです。武勇伝のようなエピソードをお持ちとか、中小企業の社長さんには特に魅力的な方が多いじゃないですか。そういう話こそ、求人の際にアピールした方が良いと思います。自慢話だけではダメです(笑)。
― 御社で作られた企業様専用の採用サイト、ランディイングページが面白いと感じたのはそういった理由もあったのですね。
ランディングページも「どうすれば応募してもらえるか?」という目的で、求職者さまごとに狙いを定めた内容を作っています。学生さんが就職先を探される際は、じっくり隅々まで読み込まれるので、社長の想いやその企業ならではのエピソードなどを盛り込んだ、テキスト、コンテンツの多いページにしています。
-アドヴァンテージライブラリーには社長セレクトの本が並びます -
逆にパート・アルバイト向けの採用は、一目でどんな職場か伝わるように写真を多く起用したイメージ先行型になっています。
中小企業がリーダーシップやコミュニケーション能力、学歴の高さといった、大企業と同じような採用基準を設けたら人材は集らないと思います。
私は「個性があるからこその中小企業」だと考えるので、その企業の個性に合う、尖った面白い人材に向けてアピールをし、採用することが大切だと思います。NEET株式会社の方々はもちろん、世の中が「ニート」と呼んで特別視している若者たちが普通の方と大きく変わっているところなんて実はたいしてないんですよ。タイミングが合えば一般企業にも勤めるでしょうし、要は受け入れる企業側の許容範囲だと思います。
こういった採用はアドヴァンテージでも行っております。多様な人材が集まる分、やはり批判や不安も含めいろんな意見が出てくる場面もありますが(笑)、そのような事をどう解決するかを含めて当社では実践しています。
- 休憩スペースの掲示板でコミュニケーション -
― 個性的な人材を採用するには多少勇気が必要かと思いますが、だからこそ御社には「次は何をするのだろう?」という期待と魅力を感じるのですね。
同じようなパターンの社員ばかりでは面白くないし、エースで4番のような素晴らしい才能を持った社員がたくさんいる、という会社も結局は弱いと思います。
淡々と仕事を進めるチームがいればクリエイティブチームがいて、体育会系のような営業チームもあって。色々な人材が欲しいですね。自然界がそうなっているので。
― 様々なカラーの方が集まった場所がアドヴァンテージ様なのですね。逆に、それぞれが個性的では皆さまをまとめるのは難しくありませんか。
…難しいです(笑)。
(笑)。会社としてまとめるために心がけていらっしゃることは何でしょうか。
…難しいです(笑)チームごとに個性を出しあうことです。個人や単体でなく、営業チーム、クリエイティブチームなど、まとまった上でのカラーが集まって「会社」という全体になれれば良いと思います。それが「社会」でもあるはずなので。もちろんそれでも価値観の違いは出るので、その違いをチーム同士が許容することが重要です。
― 横浜オフィスを作るにあたり、印象的だったエピソードは何でしょうか。
やはりハンモック案が印象的でした(笑)。補強など大掛かりな工事が必要で不採用になりましたが、残念です。採用させていただいた中では、部屋ごとにテーマのある会議室や休憩スペースです。NEET株式会社にはデザインの部分でもお手伝いいただき、こだわりのあるオフィスになりました。絵本の「スイミー」をテーマにした部屋もありますよ。
-壁一面に描かれた「スイミー」の絵 -
― ちいさな魚が主役の、あのお話ですか?
はい。スイミーはちいさな魚が集まって大きな魚に立ち向かうストーリーなので、そちらを中小企業や個人になぞらえて、「それぞれの持ち味を出し合い、協力する」というコンセプトです。
少しだけ違うのは、スイミーには目になる黒い魚が1匹いますが、たとえその1匹がいなくても大きな魚のように泳ぎ続けられる会社であることです。採用に関しては私がリーダーシップを取りますが、他の案件に関しては尻尾を担当していた他の社員が得意なので任せる、というように。案件ごとに誰もがリーダーシップを取れる「スイミー」になることが大事です
メインの会議室は会社のカラーであるオレンジを使い、アグレッシブな会議やアイデアが生まれるイメージで「太陽」の部屋と呼んでいます。3つめのグリーンの部屋は「草原」で、落ち着きをコンセプトにしています。このような部屋ごとのテーマ決めやその他の移転に関する一連は、私ではなく、社員達による移転プロジェクトチームがすべて行いました
- オレンジのイメージカラーが鮮やかな「太陽」-
― 中野社長は、オフィスは会社に対してどのような役割があると考えますか。
「仕事をやりやすくする場所」です。新横浜オフィスには休憩スペースがありますが、それは明確にオン・オフの区切りをつけられるようにするためです。
また、アドヴァンテージ自体が新しいアイデアを世の中に発信していく会社なので、常に自由な発想が生まれる空間にしたいですね。仕事をしている以上、人生の大事な期間の起きてる時間の2分の1近くはオフィスで過ごすので、社員たちにとって快適な環境を目指すことはやはり大切だと思います。
代表的な例でいえば、グーグルのように想像力を広げるオフィスを作りたいですね。遊びグッズを揃えたりして…(笑)。
― 確かにたのしい環境では新しいアイデアがたくさん生まれそうですね。鮮やかな色を大胆に使用した会議室など、クリエイティブな空間として通じるものがあると思います。
- 落ち着きがコンセプトの「草原」 -
― 今回のオフィス移転によって、会社にはどのような変化がありましたか。
マンションオフィスからの移転なので、スペースが広がり、社員達も使いやすくなったと思います。特に以前は1つしかない会議室の取り合いでしたが(笑)、今は3つあるので商談などの打ち合せで自由に使えているようです。ご来社されるお客様も増え、会社の成長に繋がっていると感じます。
― 三嶋に一言お願いいたします。
三嶋さんの対応はとても丁寧でした。途中でぱったり連絡の途切れてしまう不動産会社さんもある中、頻繁にご提案をくださったり、先日は渋谷に新拠点を構える際もお付き合いくださいました。ありがとうございます。
金本社長にもお会いしたことがありますが、オフィスナビさんも良いチームを作られているのだな、という印象を持っています。偶然、アドヴァンテージと同じタイミングで福岡のオフィスをオープンされたこともあって親近感を感じています。また移転する際はよろしくお願いいたします。
― こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。本日はお忙しい中ありがとうございました!
インタビュー・文・写真/オオツミオ
■ 株式会社アドヴァンテージ
┃ 本社:神奈川県横浜市港北区新横浜2-5-19 アプリ新横浜ビル6F
┃ 渋谷オフィス:東京都渋谷区渋谷1-12-2クロスオフィス渋谷309号
┃ 関西支社:大阪府大阪市淀川区西中島3-18-21 NLC新大阪18号館3A
┃ 会社サイト : http://www.ad-vantage.jp/